Q&A 制作全般について
220405
Q.「ロスト・デリュージョン」無限リピートしています! ちょっと不気味で幻想的な歌詞の制作についてお聞きしたいです。
ありがとうございます。歌詞を考えるのはすごく苦手なのでオケが完成してからメロディと一緒に考えるみたいなことが多く今回もそのパターンなんですが、今回は現代短歌の歌集や詩集を読んでインスピレーションを受けました。頭だけで考えようとすると同じ単語を何回も登場して同じところをぐるぐる回り、結果として歌詞が縮小してしまうので外に言葉を収穫しにいくフェーズを設けています。気に入った単語はスマホのメモ帳に溜めていって、それらを組み合わせたりして考える感じです。
220414
Q.フロクロさんは今まで曲の分析や耳コピをどのくらいの時間・曲数行ってきましたか?
また、それらがフロクロさん自身の創作に役立ったなと実感した経験などはありますか?
自分も音楽を作ってみたい!と思いDTMもどきを始めて1年ほど経ちましたが、自分が今まで受け取って消化してきたものは"音楽っぽい何か"でしかなかったと思うほど、インプットからアウトプットに繋げられません。
作曲の分野でも編曲の分野でも、考えが空っぽすぎて自己嫌悪に陥ります。
個別記事で回答しました。インプットの実践方法についてです。
220508
Q.「自分も曲作れたらたのしそ〜だな〜」からDTM始めたんですけど、作りたさだけが先行してどんな曲が作りたいか等の気持ちは全くありませんでした。今は自分の作りたいものをゆっくりさがしています。
フロクロさんはよく誰かの曲を聴いて衝撃を受けてそれに没頭する現象(失礼だったらすみません)があるように感じましたが、私は好きな音楽を聴いても「好きだな〜」くらいです、感受性が低いのでしょうか…
作りたいけど作りたいものが無い、みたいな気持ちはあったりしましたか?
個別記事で回答しました。
私自身「表現欲が溢れて止まらない!」みたいなタイプではあまりなくて、どちらかというと好きな曲の好きな部分を集めまくったプレイリストを作るような気持ちで作曲をやっています(それが表現欲である可能性はありますが)。なのでそれに気づくまでは作りたいものがないのに無理にDAWをいじって前作った曲の再生産をしたり自分も他人も聴いてて楽しくない曲を作ったりしてました。
220508
Q.フロクロさんの作る音楽や映像がすごく大好きです。質問なのですが、
・韻はどのようにして思いつくのでしょうか?
・語彙を増やすために何かしていることはありますか?
・一曲の制作期間はどれくらいですか?
答えていただけると嬉しいです。これからも応援しています!!
順番に行きます。
・韻はどのようにして思いつくのでしょうか?
韻は思いつくというより「探す」ことのほうが多いです。例えば「緑茶(今飲んでるので)」で韻を踏もうと思ったら「リョクチャ……オウア……オウア……僕ら……コスパ……ドグマ……」と母音だけ抽出してブツブツつぶやきながら探すのが最もベーシックなやり方になると思います。あとはスマホのフリック入力の画面を眺めながら考えることが多いです。ひらがなが全部書いてあるので。
あとは素直に韻検索系のツールに頼ることが多いです。
このサイトは短めかつ言葉の長さが揃った韻を探したいときに使えます(3文字打ち込めば3文字の韻が出ます)。人名みたいなジャンク語が多いのがやや難点ですが、その分網羅的でものすごく使えるツールです。韻を踏みたいわけでなくとも自分の意識の外側にある語彙をたくさん提示してくれるので、良かった語彙は今使う予定がなくてもメモったりすると後で役立ちます。
あとは有名な韻ノート。
こちらは若いフリースタイルラッパーやモンスター娘TDの広告で愛用されている印象の強いツールで、長い5文字以上の韻の検索に特化しています。
私は超好きなツールなのですが、歌モノの作詞に使えるかは難しいです。というのも収録語彙が固有名詞寄り(これはフリースタイルラップ的にはすごくうれしいポイントですが)であったり、あと押韻の検索基準が音節単位なので「アスパラガス」と「マーク・ザッカーバーグ」に押韻判定が下ったりします。「アスパラガス」と「マーク・ザッカーバーグ」を踏めてるように聞かせるのは歌モノでは至難の業です。ラップならいけますが(ZORN的なフロウを駆使すれば)。
・語彙を増やすために何かしていることはありますか?
作詞を初めて思ったのは、「想像以上に私は日本語を知らない」ということです。いや、当然普段の読書で知らない単語に出くわすことはかなり稀になったので知ってはいるんですが、それは「理解語彙(意味がわかる言葉)」が増えているだけで「使用語彙(自分が使いこなせる言葉)」が増えたわけではないのです。例えば「電飾」とか「骨格標本」とか「秘書室」みたいな言葉は誰でも意味を理解できると思うんですが、パッと作詞をしてくださいと言われてこういう単語がサラリと出てくるかと言われれば私は不可能です。結果、何も見ずに頭の中だけで作詞をするとおんなじような言葉が何回も出てきてめちゃくちゃ縮んだ世界の作詞になってしまう、という壁にぶち当たりました。作詞に挑戦して初めて「自分って日本語全然知らないんだ……」ということを自覚したのです。
そこで、私は言葉狩りに出るようになりました。いや、言葉狩りだと言葉を減らすほうに行っちゃうので、一旦「ワードハント」と呼びます。要は脳みその外側に出て色んなところに点在している「いい言葉」を片っ端から採集するのです。
まず最初にあたったのは当たり前といえば当たり前ですが、歌詞です。私は曲を聴くときに音楽的な部分に意識が向きすぎるため歌詞を全然聞き取ることが出来ず、なので改めて好きなアーティストの歌詞をじっくり読むという作業をしました。
短歌は三十一文字の中で最大の効果が出るような言葉選びをするので、実質文字数に制限のない歌詞とくらべても一単語の重みが大きいです。なのでものすごい刺激になりました。一単語の選び方もそうですし、どう単語を組み合わせると世界が広がるかについてもものすごく考え込まれています。
そういうふうにして見つけたいい言葉たちを「単語帳」と銘打ったスマホのメモに記録していきます。こういうふうにして自分で扱える語彙を文字で記録するという形で増やしていきました。
歌詞とか短歌以外にも、例えば本屋に行ってタイトルを観察するとかも面白いです。タイトルは短歌よりさらに圧縮された世界なので面白い表現がけっこうあります。「『自由研究には向かない殺人』……!!やべー!!!!!」みたいな(買ってはない)。
とにかく良かった言葉を記録するのを大事にしています。これは私が忘れっぽくて一度見たものもメモしないと一瞬で記憶の彼方に飛んでしまうという性質に要請された行動かもしれないです。記録しなくてもインプットの手を伸ばすのは共通で大事な気がしています。
・一曲の制作期間はどれくらいですか?
1日で8割くらい完成することが多いです。なので制作期間がどれくらいになるかは残りの2割がどれくらいで埋まるかにかかっています。「ことばのおばけ」は1日で曲の骨格を作りもう1日で作詞と映像を作ったので2日で完成しましたが、「黒塗り」は作曲に使ったのは1-2日(作曲だけで言えば「選択」の投稿前にすでに終わっていました)なのですが、MIXや作詞が全然決まらず、またより良い映像のアイデアがあるのではないかとずっと思案した結果1年かかりました(結局いい映像のアイデアは出ませんでしたが結果良かった気がしています)。なので制作期間はものによりけりですが、過集中タイプなので曲の8割が完成するのに1日、というのは割と共通している気がします。そこから先は時間を置いて、空白のパズルのピースを日々探しながら見つけ次第埋める、みたいな感じで残りの2割を詰めています。
220508
Q.私は幼い頃からボーカロイド作品を聴き続けていて、数年前から漠然と音楽を創る側になってみたいという気持ちがあるのですがわからないことだらけで長い間踏み出せずにいます。
特に今困っているのが制作の順序なのですが、フロクロさんは作詞、作曲、映像などどのような順序で製作されていますか?
歌詞がなければ音は作れない、ただ音がないと歌詞は作れないようなイメージがどうしても抜けないので、よろしければフロクロさん流で一つの作品が完成するまでの過程を教えて頂けるととても嬉しいです。
Q.フロクロさんは普段どうやって曲を作りますか?コードからですか?メロからですか?
個別記事で回答しました。
作品の制作順序にルールはなく、気が向いた部分から作るのが良いと思います。ただ私の場合お蔵入り確率がルートによって異なるので、映像か歌詞から詰めるのが最も安全な道ということで自分の中ではぼんやり決まっています。それもその人の得意分野によりけりなので一概には言えませんが。
220713
Q.思ったのですが、ロストデリュージョンや、空を満たして等に使われている写真って、いつ、どのような時に撮りますか?
旅行のときだったり、何気ない散歩の時だったりですかね?やっぱり。
旅行の時などは「チャンス!」と思ってたくさん写真を取るんですが、しかしいざ動画を作ってみると意外と使えない写真ばっかで全然足りねえ……ということが少なくなく(というか動画のコンセプトが決まる前に撮ってる写真がほとんどなので当然ですが)、なので結局投稿の直前とか、あるいは前日とか当日とかに必死こいて素材を集めるだけの散歩をすることが多いです。